Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

背負っているもの

刑事

 もう遥か昔の話しになりますが、現職のとき、同僚から「背負っていましたよね。」と声を掛けられたことがあります。

 北部署に刑事課長として赴任した春は雪が降っていましたし、2年後の春に異動となったときにも雪が降っていました。

 当時は、本当によく雪が降っていて、スキー場も開いていましたし、秋に買った膝まである長靴で、冬は毎朝、署前の通学路の雪をかいていました。

 署に事務連絡に来た駐在さんの私有車両は、昼の雪で埋もれてしまい、雪が止んだら取りに来るつもりで、ミニパトの乗り換えて駐在所に帰りましたが、駐在さんの私有車両が雪から出たのは、春になってからでした。

 冬の検視は、出動服に膝まである長靴を履いて、その上にグランドコートを着て出かけるのが定番となっていましたが、グランドコートや長靴を購入する前、つまり、赴任したばかりの春のことです。

 春になると地元の人たちは、山菜を取りに山に入るのですが、雪が溶けたところにしゃれこうべが出て来たということで、現場に向かうこととなりました。

 数人の刑事を帯同して、現場に行ったところ、地域警察官も数人先着していました。なるほど蕨がたくさん生えていて、そこにしゃれこうべがありました。

 少し小高くなった山の法面を見上げると頂上付近に、一見、木と見間違うような、頭の無いご遺体がぶら下がっていました。

 ご遺体を観察するとともに、ご遺体そのものを回収しなければならないのですが、山を登ろうとする警察官は無く、私が先頭となって、獣道を上って、ご遺体の状況やロープなどを含めて状況を確認して、保全してから、ご遺体を降ろして、背負って獣道を降りました。

 その姿を見てからなのか、若い刑事が獣道を駆け上がって来て、それに続いて地域警察官が駆け上がって来ました。私が背負っているご遺体は、それらの警察官が四方から抱えて、山を降りることとなりました。

 当時の私は30歳半ばで、刑事もほとんどが年上でもあり、私の度量が試されたのか、背負っているものの大きさを認識させたのか、直接聞いてはいませんので分かりませんが、刑事課長としての覚悟を持たされた出来事でもありました。

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