「帳場」というのも警察用語のひとつかもしれません。捜査本部や合同捜査あるいは本部から出張ってきて署に部屋を借りているものまで、幅広く「帳場」という呼び方をしています。
被害者に対する「気遣い」同様に、同僚に対する「気遣い」ということについて触れてみたいと思います。
「帳場」を仕切っているのはもちろん警部や警視などの班長ですが、もうひとり「帳場長」と呼ばれるものがいます。
私は、結構、警部補時代に「帳場長」というものをやってきました。指揮官である班長ではありませんが、「指揮官の補助」となります。しかし、帳場長を育てないのか、事件が出来ないのか、帳場長が出来る捜査員というのは少なくなってきたように思います。
指揮官は捜査で頭がいっぱいですから、帳場にいる捜査員のことは帳場長が考えなければなりません。捜査員が疲れていれば早く帰すように指揮官に助言するのも帳場長の務めとなります。
捜査員の配置、車の配置、旅費の取り扱い、取調室の確保、留置場の確保、被疑者の押送、任意被疑者を含む取調べ被疑者の食事や休憩の確保、供述内容の精査、送致書類のまとめ等多々仕切るのが帳場長です。
ここにあげた例のほかにも人知れずやっていることもあります。誰よりも早く出勤して掃除をしたり、捜査員を早く帰して茶碗を洗ったりもします。茶碗だけでも何十個もあります。それはしかし、次の日も捜査員に「捜査に集中」してもらうためにやることです。
朝早く出勤してお茶を沸かし、誰もいなくなった帳場を掃除し、茶碗を洗い、ごみを捨てたり、片づけをするという経験は「捜査」以上に大切なことだと思いますし、それを捜査員任せにするようでは帳場長は務まりません。
捜査の流れを見る以上に、捜査員全員を見るということが「捜査」そのものを見るということになるのです。
そのうち、メモや書類を見なくても、捜査員の誰が、どういう目的で、誰と、どの車で、どこに行っているのかということが頭の中に入ってくるようになり、その経験が捜査を俯瞰的に見ることが出来るようになるのです。



コメント