いままで、蛇蝎のようだった男は、逮捕された途端に恐喝未遂の事実も素直に認め、留置場でも借りてきた猫のように大人しく看守の言うことも素直に聞いていました。
看守も扱い易い留置人ということで特段、動静を気にすることなく勤務についていました。男は巡査部長の看守の言うことに、他の看守から言われるよりも、より一層従順な態度を見せたため、気分を良くした巡査部長の看守は、男のちょっとしたルール違反を一度だけ、見逃してしまったのです。
男は、巡査部長の看守に対して態度を一変させ、二人きりになるとルール違反を見逃したことを幹部に言うと脅しながら、過度な要求を突きつけるようになりましたが、他の看守の前では、そのような素振りすら見せなかったことから他の看守に気づかれることは無かったのです。
男は、罪を認めながらも看守を陥れて、罪から免れる工作をしており、留置慣れと言うのか、狡賢い人間は「一番弱い人間」を探し出す能力に長けており、看守に素直に従う振りをしながら、看守を観察して、陥れられる看守を探していたのです。
巡査部長の看守は自己の犯した行為と蛇蝎のような男の要求で、精神を病んでしまったことから前述のような状態になっていたのですが、すぐに配置転換を具申して、幸いにも彼は地域警察官として職場復帰をしていますし、男は刑に服しています。
被疑者の従順な態度には気を付ける必要がありますが、それ以上に留置場は人間というものを考えさせられる環境でもあり、将来の取調べや捜査には必ず役に立つものです。しかしながら、狭い空間で自由が無い勤務をしている看守には気配りをしてあげてください。
「気配り」と言うのは簡単ですが、看守も人間ですから、心配事や悩みなども多々あると思います。時には、家族などと連絡を取りたいと願うこともあるでしょう。「携帯電話」は法令上、危険物扱いですから、看守は留置場内に持ち込めませんし、持ち込むと処罰を受けることとなります。しかしながら、看守の気持ちを慮り、看守が預けた携帯電話は当直長などが管理して、電話が鳴れば場内から看守を出させて電話かけさせたり、電話をかけたい思ったときは申し出させて、代わりの者が看守に入るなどの環境を作ることも大切です。
部下である看守の気持ちに気づかない、気づかなくて部下が処罰を受けることになったとしたら、それは幹部の責任です。



コメント