Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

生きた資料

刑事

 刑事になったばかりの駆け出しのころ、自署管内で発生した殺人事件の帳場に入り、本部捜査第一課の巡査部長とともに、被害者班の一員として捜査に従事していました。

 事件は、管内のマンションに単独で居住していた男性が、刃物で一突きにされて殺された事件で、隣県に居住する知人が第一発見者でした。

 現場の犯行態様から当然、部屋中に血飛沫があり、タンスには犯人のものと思われる掌紋が血でべったりとついていました。

 血掌紋と第一発見者の掌紋は一致しなかったものの、捜査第一課の巡査部長と私は第一発見者の行動確認と聞き込みの下命を受けて、連日、炎天下の中、隣県を這いずり回っていました。

 数日経ったころに現場に遺留された血掌紋が、ある県下で、少年時代に採取された被疑者の掌紋と一致し、当時20歳になっていた被疑者は所在不明となっていたのですが、たまたま当警察の警察署に強盗に被害者となり、被害届を出しに来ているという情報が入り、私が組ませていただいていた捜査第一課の巡査部長が真打となって取調べを担当し、自供も得ることが出来ました。

 当時の組織の風潮は、絶対年齢である少年の被疑者指紋は、たとえ保護者の承諾があっても採取すべきでないという理屈が主流であり、現実に生活安全部の少年課の指導官はそのような業務指導を実施していました。

 被疑者が指紋を採取されたは逮捕事案でもなく、軽微な犯罪で、かつ16歳のころだったと記憶していますが、事件を扱った県警が被疑者指紋を採取していなければ、被疑者が検挙されることがなかったか、あるいは長期間の捜査に大勢の捜査員が従事することになったと思います。

 事件捜査においては、今後、ますます自供を得られないことが増えていくと思います。客観的な証拠として、指掌紋やDNAというのは大きな役割を果たしていくと思います。

 都合の良いときだけに鑑識資料を利用するのではなく、自らがこつこつと収集することが重要になることは言うまでもないと思いますし、困難なときこそ、積極的に鑑識資料を採取して将来の自分に還元あるは役立てるようにして下さい。それも大切な、必要な捜査なのです。

 因みにカビは生えていましたが、私も制服を着ていた時代に鑑識総合上級を取得していました。

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