Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

駆け出しのころ

刑事

 1年間かけて、将来の幹部捜査官や職人を作る目的で、刑事部の各課に吸い上げた4名の巡査部長に対する捜査官研修というものがありました。

 まだまだ駆け出しだったころに、捜査第二課に異動となり、捜査官研修生第3期生となったのですが、その課程の中に検察庁における研修があり、4名の研修生がそれぞれの検事のもとに配置されて、2週間の研修を受けることとなりました。

 他の研修生が、警察署から送致されてきた事実に基づいて、補充捜査のために調書を取ったり、事情聴取したりと警察事務官的な研修を受けていた中、私がついた検事は、政治経済担当の刑事部筆頭検事で、補充捜査というものではなく、まさしく検察官としての研修をさせていただきました。

 警察署から送致されてきた事件の裁定書を作るように下命されて、何も分からず、裁定理由を一所懸命に考えて、どうにかこうにか裁定書が出来た旨を指導の検事に報告すると「じゃ。行こか。」といきなり、何の添削も、何の指導もなく、裁定の結果さえも聞くことなく、刑事部長検事室に連れて行かれ、刑事は入り口付近で待機したまま、「じゃ説明して。」と切り出され、刑事部長検事の前に押し出されました。

 心臓バクバク、汗だらだら状態で、刑事部長検事の前に立ったまま、裁定理由を説明したところ、数点質問は受けましたが、その決裁を通していただきました。

 裁定書というのは、事件を起訴するか不起訴にするか(他の裁定もありますが省略します。)というものであり、おそらくは刑事部長検事と指導検事の間で何らかの申し合わせがあったのでしょうが、巡査部長という警察官と見下した態度など微塵もなく、自分と同じ「検察官」として扱われ、裁定理由や結果を聞くことなく、刑事部長検事に決裁を取りに行かせるということは、度量というか、仕事の教え方というのか、大胆で、かつ非常に思い出深いものとなりました。

 その後も、指導検事には2名の司法修習生が研修のためについていたのですが、裁定書の決裁を受けた翌日から、告訴の関係書類を材料にして、司法修習生とともに、どのように告訴を組み立てるのか、はたまた事件としては成り立たないのか、今後の捜査方針や疑律判断をするようにと課題を出されて、数日、司法修習生と議論を交わしました。

 本当に変わった検事でしたが、その後すぐに退官されて、弁護士をされており、35年以上経った今でも、懇意にさせていただいてます。

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