Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

密室

刑事

 明日は「七夕」です。彦星と織姫が一年に一度の逢瀬が出来るのですが、雨だったら無理でしょう。

 誤解されている方が多いのですが、彦星と織姫は「恋人」ではありません。「夫婦」です。あまりにもいちゃいちゃするもんですから、神様が怒ってしまい、一年に一度だけ会えるようにしたみたいです。

 本日は、留置業務に触れてみたいと思います。

 過去にも触れたことがありますが、腹に一物を持った留置人は、何とか留置場にいる看守を陥れようと画策をします。看守の弱みを握るまでは大人しくしていますが、一旦、看守の弱みを握ると過度な要求行為を恫喝しながら行っていきます。こういう類の人間は、弱い人兼というか付け入りやすい人間を見極める能力にも長けており、ひとりの看守をターゲットとして追い込んでいくことになります。

 留置人には、毅然とした態度で挑まなければならないのですが、密室でもあり、看守の数が留置人の数に劣るということもあり、挑発、侮蔑、さらにはルールに従わないという口でいうほどなせることではありません。

 だからこそ、場外にいる者がしっかりと看守に気遣って、小さな綻びを見つけて、繕っていくことを考えないといけないのです。

 署の警務課長として、当直に就いていると女性が夫から髪を切られ、今からファミリーレストランに連れて行かれるという110番を受信しました。

 子供がいる女性だったのですが、夫から日常的に暴力を振るわれ、その暴力という恐怖で女性を縛っていたのですが、夫の目を盗んでの110番でした。

 ファミリーレストランに急行させた制服の警察官から、他の客の迷惑になるということで店内の立ち入りをレストランから拒否されているという第一報が入って来たことから、私服の当直員の投入を指示しました。

 当時は、ストーカー規制法が出来て数年は経っていたにもかかわらず、DVを含めて、世間には法の主旨は全く伝わっていませんでした。

 女性は頭をスカーフで巻いており、スカーフを取ってもらうとずたずたな状態の髪が見られました。このようなDVから女性を守るためには、警察が強制力を持って、夫と切り離すのが良いのですが、女性の意思に反して髪を切るという行為は「不法な有形力の行使」となって、暴行罪は成立するものの、罪刑が2年以下の懲役ですので緊急逮捕は出来ません。

 男は、現場で「俺の女や。俺が何しようが勝手や。」と息巻いており、女性自身も今までも行政をはじめとして、警察も何もしてくれなかったという諦観や今回も何もしてくれないのだろうという思いもあって、110番はしたものの、段々と男に擦り寄る言動を取るようになってしまいました。

 このまま放置すれば、いつかこの夫に女性は殺されてしまうだろうという危惧もあり、本署に何とか任意出頭はさせたものの、逮捕状を請求する暇も被害女性の引き留めもかなわない状況になっていました。

 本署には男の母親までが押し寄せて、「早く帰せ。」と公かいで抗議していると報告が来ました。現状を打破すべく、取調室に入ると女性には若干、頬と喉元に傷のようなものがあり、そのことを聞くと「昨日、夫に殴られた。」との供述を得ることに成功したので、夫を傷害の罪で緊急逮捕しました。

 夫は逮捕される際、相当暴れて、留置する際にも暴れました。抗議に来ていた母親には私自身が「逮捕した。今日は帰ることはない。」というと「あの女は悪い女なんや。女が悪い。」と喚き散らしていました。

 その後、夫は、女性に日常的に暴行を加えており、その後の捜査で、骨折やかなりの傷を負っていたので、再逮捕を4回ほど繰り返し、1年近く留置するこtになったのですが、夫は否認を貫き、留置場から出ることもなくなりました。

 しかしながら、女性と夫を分離したうえでの捜査と証拠の収集により、逮捕した事実全てで起訴され、有罪と認定されました。

 一見、綱渡りのような指揮官としての捜査指揮及び施設管理者としての留置業務のように映るかもしれませんが、被疑者やその家族に恨まれることはあっても、たったひとりであってもやるべきことをやって、人を救うのが警察の仕事だと思います。

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