Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

許された危険Ⅰ

巡査部長

 自動車は、ひとたび事故を起こせば大きな被害が発生しますし、事故は絶対に起こさないということは不可能であり、そのようは危険な自動車をなぜ禁止しないのかと疑問には思わないでしょうか。

 被害が発生するというマイナスよりも、なお自動車を利用することによるメリットが大きいということで、自動車という危険はその存在を許されているということになります。

 少し難解な言い方ですが、「社会的に有益あるいは不可欠な行為は、それが法益侵害の危険を伴うものであっても許容される。」ことであって「その行為から実害が発生したとしても、結果回避につき相当措置が取られていれば違法ではない。」というものを「許された危険」と言います。

 上記は「過失」についての理論なのですが、私自身が捜査を行っていて、この「許された危険」に直面したのは、知能犯捜査担当の主任として「緊急逮捕状」の請求を裁判官に行ったときでした。

 ある日、地域警察官の自宅に、銀行から「姓は同一であるが名前が違う」キャッシュカードが送られてきたという相談を受けたのです。口座を開設したときなどでキャッシュカードが必要なときは、通帳は窓口で交付されますが、キャッシュカードは簡易書留で郵送することにより、銀行は本人確認をします。

 当該キャッシュカードを送付した銀行の支店に赴いたところ、口座開設によるキャッシュカードの送付であることが明らかになったのですが、口座開設のために窓口に提出された運転免許証が存在するものでは無いことも明らかとなりました。

 口座開設のために1万円が預けられていたのでしたが、偽造運転免許証を使用して口座を開設した真意が良く分からず、キャッシュカードは押収していましたので、預け金を通帳で引き出す可能性もあったことから、当該通帳を持参した者が訪れた際は通報してもらえるように銀行にお願いしておきました。

 今でこそ、闇金や特殊詐欺に使用される口座開設もあり、それに対応する法律も出来ましたが、当時はそのような犯罪が発生することは少なく、対応する法律もありませんでした。

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