Eva(公益財団法人動物環境・福祉協会Eva)

それぞれの思い

刑事

 以前、一緒に勤務していた方が、何かの用事で私が勤務していたところを訪ねて来たときに、デスクに立ち寄られて、一頻り、昔話をして帰って行かれたことがありました。

 彼は、その年に定年退職となられたのですが、「(私と一緒に勤務していた)あのころが一番楽しかったです。」と遠くを見つめるようにぽつんとおっしゃっりました。

 私としては、思いもせずに、それでも彼に警察職員としての人生に楽しい思い出を残してあげる一助になったのかも知れないと思ったものの、「また一緒に仕事が出来たら良かったですね。」という掛ける言葉を飲み込みました。

 その後、私が一番長く勤務していた部署の送別会に出席を躊躇っていたところ、主催者側が勤務していた署を訪ねてきて、必ず、参加して「乾杯」をして欲しいというお願いを受けました。

 その部署は、私が勤務していたころから10年以上は経っていますし、同じくらい参加していない送別会でしたので、今年も断ろうかと思っていました。

 その送別会においては、私にしか分からないであろう退職者ひとりひとりの功績を披露してから乾杯をさせていただきました。

 所属長になっていた退職者のひとりの功績として、当時、巨大な組織の犯罪を解明するために、何度も説明して、他の者では解明不能な事実を客観的に是認出来るまでのレベルの資料を作成してもらったことを披露しました。

 その後、彼の席にビールを注ぎに行き、その資料のフロッピーには「汗と涙の結晶」と書かれていたことを話しますと、彼は「補佐(当時の私)の指示が理解出来ず大変でした。でも辛いとかしんどいとかは一度も思いませんでした。楽しかったです。」「毎日、未明まで仕事をしていたところ、大丈夫かと作業している所をのぞいてくれました。」と懐かしそうに話してくれました。

 送別会から数か月経ったころに、当時の私の階級と同じ後輩が、圧力に負けることなく、上司に意見をしているということを小耳に挟み、これからの警察人生に不利にならないように、励ましというか小言というか、電話を入れると「何を言っているんですか。私は先輩の後ろ姿を見て仕事をしてきたんですよ。」と返され、ちょっと困ってしまいました。

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